それにしても、なぜ夫である旦那さんは、Tさんやお子さんにモラハラ発言をするのでしょう。
夫婦関係の間でモラハラが生じている場合、双方の「他人軸を形成した過去」に焦点を当てる必要があります。
この話は前回からの続きです
母親の影響を受けているモラハラ夫の他人軸
旦那さんは、なぜ他人軸による対応をTさんに取っていたのでしょう。
Tさんは、以前、夫である旦那さんが、お姑さん(義母)に向かって怒鳴っていたのを覚えていました。
あんたはいつも俺のやりたいことを反対する!
彼も、幼い頃、義母の機嫌を損ねないよう振舞ってきたのかもしれません。
旦那さんの中にやりたいことをやると反対されるという無自覚の思いが存在していたから、飲みに行く旦那さんにTさんが、誰と?と聞いた時、反射的にやりたいことを反対されたと感じて、喧嘩腰で返すことでTさんを黙らせ、自分を守ったのかもしれません。
もしかしたら、「自分は反対され続けてきたのに、子供がやりたいようにやるのは許せない」と無自覚のうちに感じていたのかもしれません。
どちらも私の想像に過ぎず、本当のことは旦那さんにしかわかりませんが、母親にやりたいことを反対されて嫌だったはずなのに、同じことを自分の子供にせざるを得ない状態にあるのです。
幼い頃に形成した他人軸による対応の積み重ねが、大人の自分や周囲に及ぼす影響は、大きいのです。
姑のマウンティングにEFTタッピング
あるセッションの日、Tさんの口から、お姑さんである義母の話が出てきました。
Tさんは、結婚した後、お姑さんの言動に傷つくことが多々ありました。
以前のTさんにとって、お姑さんは、旦那さんと同じ「自分より上」の立ち位置の人。
よってTさんは、お姑さんに対しても、機嫌を損ねないよう他人軸で振舞っていました。
親戚の集まりなどで、Tさんに注目が集まると、お姑さんは彼女にケチをつけてきたり、嫌味を言ったり、マウンティングを取ってきたりするのです。
お姑さんもまた、他人軸の積み重ねによって「周囲からの注目を集めて、自分を認めてもらえた」と感じる必要があったのでしょう。
Tさんに注目が行ってしまうと、お姑さんは満たされなくなるのですよね。
だから、つい皆の前で文句をつけたり、マウンティングしたりして、自分の方が上だと周囲にPRし、認めてもらえたと感じて、安心したくなったのかもしれません。
でも、このやり方、若いうちは何とかなっても、年を重ねるとイタイだけ。
気づかぬうちに、対人トラブルを引き起こし、人が離れていくので要注意です。
Tさんはお姑さんに対し「自覚なきまま、嫌がらせしても良いですよ」という状態になっているので、ご自身を守る必要があります。
そのために、「自分で自分の感情や思考をありのまま認める」ことが必要なのです。
このような話をしながら、「お姑さんとの関係」について、EFTタッピングをしていきました。
手料理をさんざん食べた後に文句をつける姑
Tさんは、お子さんの誕生日に舅・姑さんを家に招待し、料理を振る舞いました。
そうしたら、お姑さん、さんざん食べた後に、Tさんの料理にケチをつけ始めたのです。
何と言われたかは、個人特定がなされないように伏せますが、嫁姑問題(他人軸)あるあるですね。
Tさんびっくりです。
さんざん食べてから言う?
人が作ったものにケチつける?
10年以上も前の話ですが、Tさん、今でも、モヤモヤしっぱなしです。
彼女のように「今さらどうすることもできない過去を思い出してはイラついたり、悶絶したりする」経験をなさっている方は、多いのではないでしょうか。
過去の出来事を思い出す時は、現在の自分を改善するための、ヒントとして浮上してきていることも多いのです。
なので、自分軸が身につくEFTタッピングは、過去を振り返りつつ「追体験」をしながら、モヤモヤをありのまま認めて掘り下げていきます。
過去で自分がどういう対応を取って、お姑さんにモヤモヤしていたのか。
今だったら、どういう対応を取るのか。
「追体験」をしながら、必要な対応を身に着け、思い出した過去を今から続く未来で活かしていきます。
他人軸を積み重ねている場合は、モヤモヤを解消するだけでは足りません。
その時はラクになったけれど、後に登場人物を変えた状態で、他人軸による対応を繰り返し、モヤモヤすることになるからです。
料理も私もけなされたと感じていたTさん
モヤモヤを掘り下げた、Tさんの中から出てきたのは
料理を作る人に対して、姑のあの発言はないだろう。
すごくびっくりした。
この思いをもう少し掘り下げてみたら、
姑に料理も私もけなされた
そう感じていたことに気付きました。
けなされたと感じたことが事実になっている
Tさんは、姑に料理も自分もけなされたと感じていました。
でも、本当に「Tさんが作った料理とTさんをけなすつもりがあったのか」は、お姑さんにしかわからないこと、なんですよね。
事実と感情が分けられないと、必要な手が打てないので、ここでEFTタッピングをします。
これはあくまで私の個人的な想像に過ぎないのですが、もしかしたら、お姑さんは、Tさんをけなしたというより、無意識のうちに「かあさんの料理の方がおいしいよね」みたいなアクションを舅・息子(旦那)・孫達に求めていたのかも知れません。
ま、本当のところは、お姑さんにしかわからないのですけれどね。
「料理も私もけなされた」と感じていることをさらに掘り下げると、別な思いが浮上してきました。
あまりにもひどい発言だから、旦那さんか、舅が、姑に言い方を注意するはずだ。
旦那は、私の辛い気持ちをわかっているはず。
絶対に、旦那や舅が注意するはず。
そう思っていたのに、実際は、旦那さんと舅、二人とも無言でスルーしたのです。
二人とも、お姑さんの発言に何も感じていなかったのか、機嫌を損ねてギャーギャー言い出さないようにやり過ごしたのか。
いずれにせよ、何事もなかったかのように振舞うのは、他人軸あるある対応なのですが、Tさんは落胆し、酷く傷ついてしまいました。
誰一人として、私のことを守ってくれない。
他人軸で、周りの機嫌を損ねないよう、頑張ってきたTさん。
無自覚のうちに、彼女が何も言わなくても旦那さんや舅が、Tさんの思いを察して姑に注意してくれる、かばってくれる(欲しいものを与えてくれる)と思っていたのに誰もそうしてくれなかった。
だから、傷ついていたことに、お気づきになりました。
大人のTさんは、頭では、助けてもらわなくても大丈夫、とわかっています。
でも、感覚的には、「誰も、私のことをわかってくれない、守ってくれない」になっていて、これがTさんの中で事実となっていました。
この思いにEFTタッピングをした後、Tさんの中から出てきたのが
あの時、辛かったなあ。
存分に辛さをありのまま認めていくと、
もう旦那に助けてもらわなくても、私、自分のこと守れるなあ。
頭と心が納得した状態に行きつきました。
そうです。
Tさん、旦那さんに、自分軸で必要な対応が取れるようになっているので、もう大丈夫です。
このセッションの最後に、Tさんが
わかった!これがモヤモヤの正体だったんだ。
今日はもうこれで大丈夫です。
と仰っていたEFTタッピングのセットアップフレーズを紹介しましょう。
EFTタッピング・セットアップフレーズ
私だったら「●●●●●●●●」という、私の作った料理を否定していると感じる言葉を、人に対して使わないから、姑が口に出した時、ものすごくびっくりして、絶対に旦那や舅が注意するはずだ、スルーするはずがない思い込んでいた自分をありのまま認め受け入れ愛します。
言葉なんて大したことがない。
それよりも、現状がすぐに良いように変わってほしい。
そう思うかもしれませんが、感覚に合う言葉を選び、EFTタッピングしながら、モヤモヤをありのまま認めて、過去の追体験をしていくと、「今さらどうすることもできないこと」に折り合いがついたり、未来に結びつく学びや対応の変化、前に進むための原動力、自信などへと変えられたりするのです。
両親の影響で他人軸を身につけたTさんの過去を掘り下げる
この次のセッションで、なぜTさんが思っていることを言わずに、旦那さんや姑さんたちの機嫌を損ねないよう、振舞っていたのかを掘り下げました。
昔、私、父親に自分の意見を言おうとすると、母親から止められていたんです。
そして「思っていることを言えない」女性たちが集まって、愚痴を言い合っているのを見て育ったんです。
母や友人らの愚痴を聞くことは全然苦じゃないんです。
愚痴を聞くことで、周囲の役に立つ、ここに存在してもいいと感じていたことにEFTをすることで気付きました。
Tさんが、ご自身の意見を旦那さんやお姑さんたちに言えなかったのも、愚痴を聞くことが苦じゃないのも、小さい頃にご両親を始めとする、周囲の大人たちから受けた影響だったのです。
無意識のうちに「自分の思っていることを言わなければ、相手の機嫌を損ねず、穏便に暮らせる」「愚痴を言い合うことで問題・悩みを解消する」と学習していたのでした。
でもこれだと、本当に必要な対応は取れず、どうでもいいことにTさんの時間や労力を費やしてしまうことになる訳です。
他人軸の問題の解決方法は、「内心不満に思っていても、表面上は、何事もないように振舞う」ことです。
- どちらかが、どちらかを従わせる(誰かに自分を認めさせる)
- 双方が黙りこむ
そうすれば、表面上は、問題がないことになるのです!
だから、Tさんと旦那さんの関係では、下記の状態が、問題を解決する方法だったのです。
旦那さん:怒鳴る
Tさん:モヤモヤしていても、表面上は機嫌を損ねないように振る舞い、友人と愚痴を言い合う
でもこれだと、長年一緒にいて一番近い、大事なパートナーであるはずなのに、お互いに肝心なことを話せない。
話し合いにもならないし、話にもならないのですよね。
EFTセッション前のTさんが、「話をしたいけれど、どうしたらいいのかわからない」と感じていたのも当然なのです。
他人軸の世代間連鎖が気になる
ご自身の他人軸がどのように形成されていたのかに気づいた時、Tさんが真っ先に気にしたのは、お子さんのことでした。
自分が両親の影響を受けたように、子供も自分たちの影響を受けているのではないか。
世代間連鎖に気づいたTさんが、お子さんを気にするのは当然だと思います。
でも、Tさんに生じた連鎖は、ご両親もそうだけれど、時代背景が大きかったはず。
Tさんは40代。私・伊藤も彼女と年齢が近いのですが、お互いに「自分の思っていることを言わなければ、相手の機嫌を損ねず、穏便に暮らせる」場面、いっぱいありましたよね。
大きくなってからも、「女だから」「嫁だから」という理由で、周囲の機嫌を損ねないように振舞う場面が多かったはず。
そうするのが当然。
そうするしかなかった時間を多く過ごしてきているのですよね。
でも、このような状態にあっても、今回、ご自身の感情や思考をありのまま認め、お子さんの進学について「やりたいことをさせたい」を実現なさったのですから、これを機に、自分軸の「自分がどうしたいのか」を積み重ねていけば大丈夫です。
過去の他人軸の影響は、思っているよりも広がっています。
なので、EFTで浮上した、現在や過去の悩みを事例に、、他人軸による対応の後始末を、現在の自分が行い、未来へとつなげていくのです。
他人軸を形成した過去の出来事にEFTをして思ったこと
Tさんは、旦那さんとの関係改善を試みて、反応の変化を感じていました。
離婚回避・関係改善と言っても、数年後に夫婦でいる自信が無い。
そうですよね。
20年近く我慢してきましたものね。
ちょっと変化の手ごたえがあったからといって、長年に渡る旦那さんのモラハラな態度で生じた傷は深いのです。
自信がないと感じるのは自然なことだと思います。
離婚相談してた、離婚経験者の友達に会った時に、とりあえず落ち着いてる事を伝えたら、今は良いけど今後どうするの?
別れずにずっと一緒に居れるの?と結構しつこく言われました。
これもお試しでしょうか?
この件について、対応方法をお知らせし、全12時間に渡るEFTタッピングのセッションは終了しました。